納車から3週間ほどだが、気が付けば500km以上走っていた(ご機嫌)。
奥さんの通院同行と、最近帰りの遅い奥さんを会社まで迎えに行くなどしていたためで、このままだと慣らしが2ヶ月経たずに終わってしまうかもしれない。ファーストインプレッションに続き、細かく見えてきた部分をレポートしたい。
低速でのガクガク感
Webをでチラホラ見る「低速でのギクシャクした動き」について、傾向としてはあると感じた。特にアクセルペダルを戻す動作が荒っぽいと「前後にガクガクと揺れがち」だ。丁寧に戻せば気になるほどではない。慣れればオッケーという範囲ではあるが、もう少し反応をおっとりさせたほうが慣れやすい&ドライバーに優しいのではないだろうか。
シフトアップ&ダウン(自動変速)
シフトダウンは特に先回りしてやってくれる印象。アクセルを離した時の空走感もなく、しっかりエンジンブレーキが効いてくれる。そのまま減速していくと自動でシフトダウンしてくれる。素敵。
シフトアップもほいほい上げずに、しっかり我慢してくれる。なので、アクセルペダルだけでの速度コントロールが非常にしやすい。これは二重マル。
また、アクセルの踏み方次第でギヤチェンジまでコントロールできるのは、ずっとMT車に乗ってきた身としては嬉しい。自動変速はこうあって欲しいと感じる。
真っ直ぐ走る
とにかく真っ直ぐ走る。路面に凸凹があろうと勝手にクルマが左右に動かない。安心して真っ直ぐ走ってくれる、という安心感を感じる。「車体そのものに真っ直ぐ走る力がある」という言葉を先日聞いたが、それを体現しているクルマだ。
サスペンションがもう少し柔らかく動いてくれると嬉しいが、それには車高・サスペンションストロークのアップが必要だろう。日本仕様は全て、本国の標準仕様より20mmダウンのスポーツサスペンションを採用している。
ハンドルを戻す時の自然な反力
切ったハンドルを戻す際の自然な感触が素晴らしい。運転の例としては良くないが、ハンドルを離したまま、勝手にハンドルが戻る動作とクルマの動きが自然そのもの。これが一番驚いたところかもしれない。
電動パワステの嫌な感触を感じない、というのが凄い。エンジンが無い分フロントが軽く、電動パワステのアシスト量がFF車よりも減らせているのかもしれない。少なくともアシスト用モーターが頑張っているのを主張するような、(安っぽい)「ウィーウィー」というモーター音は聞こえない。
騒音はそれなりに入ってくる
外の騒音はそれなりに入ってくる。特にこの個体はキャンバストップ仕様なので、ハードトップ仕様と比べると騒音は入りやすい。が、あまり不快には感じない。音に「トゲが少ない」と言えばいいだろうか。
小さな贅沢
基本的にはすごくナイス。細かい注文はあるが、具体的に不合格なところはない。それに自動車としての味もある。RRというメカニズム上の特徴も関連するだろうが、こういうクルマは今時珍しいかもしれない。大変幸せである。
FFは全てのメカが一箇所に集まっていて合理的だ。故にフロントに荷重が偏る。そして昨今はモーターやターボチャージャー等の補機類が増えていて、ボンネットの下は部品同士の場所の取り合いになってしまっている。直列6気筒エンジンが復活したのはその流れの一旦である。
そんな変化の中で、駆動輪と操舵輪を別にできるRRレイアウトは、部品を分散配置する方法の一つだ。ボンネットは丸々衝突対策に使える。前後の重量配分も45:55と非常に良い。レイアウト・パッケージング上の素性が良いというのは何にも勝る武器である。パッケージングがダメなクルマは、どれだけチューニングしても「マシ」にしかならない。
専用設計故に生産設備投資が膨らむことを考えれば、小さくて贅沢なクルマである。だが「現代の自動車という道具」を「味わい」も含めて作るには、別の意味での合理性があるようにも感じる。メルセデスとルノーは協業により、その合理性を手に入れたのだ。